History and Characteristics of LaPerm (1)
ラパーマの歴史と特徴 (1)
ラパーマの一番の特徴といえば、やはり巻き毛。
クルクルとした毛は肌触りもよく、見た目もかわいらしいですね。
ただ、巻き毛の猫はラパーマ以外にも何種か存在していているので、それらとラパーマの違いに注目すると、ラパーマがラパーマらしい理由がわかると思います。
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歴史
ラパーマは、突然変異で巻き毛として生まれた1匹の猫が起源の猫種です。(資料1)
1982年、アメリカ合衆国オレゴン州ザ・ダルズのサクランボ農園でネズミを追い払うために飼われていた「Speedy」という雌猫から生まれた子猫のうち、1匹だけ巻き毛の雌猫がいました。その猫は農園主によって「Curly」と名付けられます。
しばらくは農園で自然にまかせて他の猫と交配していましたが、巻き毛が優性遺伝だったため、巻き毛の猫が農園で増えていきます。近隣の人もその珍しい猫に注目しはじめます。
1992年(Dennis Ganoeさんの手記による)、農園主はその巻き毛の猫をCFAのキャットショーに連れて行き、この珍しい猫についてのアドバイスをもらうことにしました。そこに居合わせたブリーダー・ジャッジの協力の元、ラパーマの繁殖プログラムが開始されます。
1995年、ラパーマはTICAでNew Breed Classに登録され、そして2003年にTICAのCampionship Statusを獲得、つまり血統団体に品種として認められました。
(※Curlyが生まれた時「無毛」だったことがラパーマの歴史を書いた書物・サイトで取り上げられがちですが、現代のラパーマは無毛で生まれてくることはほぼなく、「無毛」に注目するのはラパーマに対して誤った認識をもたらす恐れがあります)
他の猫種との比較
巻き毛の猫は歴史を遡ると、世界各地でたびたび発生しているそうです。(資料2)
しかし現代において、猫種として確立していて、かつ世界中にその猫種のブリーダーがいるものは、主に以下4種ではないでしょうか。(資料1、3、4、5)
猫種 | 発生年 | 品種登録年 | 最初の猫の名前 | 初期の交配方法 | 遺伝方式 |
コーニッシュレックス (Cornish Rex) |
1950年 |
1967年 (GCCF) |
Kallibunker | 人のコントロール下で交配 | 劣性遺伝 |
デボンレックス (Devon Rex) |
1960年 |
1967年 (FIFe) |
Kirlee | 人のコントロール下で交配 | 劣性遺伝 |
ラパーマ (LaPerm) |
1982年 |
2003年 (TICA) |
Curly | 自然にまかせて交配 | 優性遺伝 |
セルカークレックス (Selkirk Rex) |
1987年 |
1992年 (TICA) |
Miss DePesto of Noface | 人のコントロール下で交配 | 不完全優性遺伝 |
ここで注目いただきたいのは、猫種の元となった猫が発生してから、品種が血統団体に登録されるまでの年数、および初期の交配方法です。
コーニッシュとデボンは、劣性遺伝。つまりブリーダーが、劣性の遺伝形質が現れるように繁殖をコントロールした結果、確立した猫種ということです。
一方、セルカークとラパーマは、優性遺伝。1匹野に放てばそこらじゅうの猫が巻き毛になるという代物で、実際ラパーマの場合は農園の猫がクルクルだらけになってやっと「これ珍しい猫かも」と気づいた訳です。
ではセルカークはどうかというと、最初の1匹が見つかってからすぐにブリティッシュショートヘアーやペルシャなどとの異種交配を行っていて、コーニッシュやデボン同様、ブリーダーが最初から繁殖をコントロールしています。しかも品種登録されるまでに5年しかかかっていません。
ラパーマの最初の1匹が見つかってからの5年後の時点は、まだ農園で自由に交配していた頃です。本格的な猫種開発は始まっていません。
他の巻き毛猫種と比べ、ラパーマは開発初期にブリーダーのコントロールを受けなかったため(しかもそれが10年間!!)、体形において尖った特徴をもたない猫種として確立しました。これはラパーマを理解する上での大事なポイントです。
猫種の基準である「スタンダード」には、以下のように記載されています。(資料6)
- TICA
- It is medium-sized and curly-coated, with a semi-foreign type body. <中略> All parts of the body are in harmony with the size of the cat.
- CFA
- It is medium sized, curly coated with moderate type. <中略> All parts of the body are in harmony with the size of the cat.
- GCCF
- It is medium-sized with a moderate foreign body type, well balanced overall <後略>
- FIFe
- It is medium-sized with a moderate foreign body type, well balanced overall <後略>
「体のすべての部分が、猫の大きさと調和している」「中型で適度なフォーリン体形で、全体的にバランスが良い」、つまり極端なところがない中庸な猫ということです。
ほっそりとした体形のコーニッシュやデボン、がっちりとした体形のセルカークも魅力的ですが、ラパーマにはラパーマの良さがあります。
資料
1 : ラパーマの歴史
HISTORY OF THE BREED – The LaPerm Society of America
LaPerm Timeline – LaPerm Cat Club
Where It All Began – Dennis Ganoe / LaPerm Cat Club
2 : 巻き毛猫発生の歴史
CURLY-COATED CATS – Sarah Hartwell
3 : コーニッシュレックスの歴史
Breed History – Koshka Cornish Rex
Cornish rex – kuvaus – Piupaws Cornish Rex
4 : デボンレックスの歴史
The Devon Rex – A white hot curly cat spot
5 : セルカークレックスの歴史
Selkirk Rex breed history – SELKIRK REX CAT CLUB
History of The Selkirk Rex – KITYKAREKURL SELKIRK REX
6 : ブリードスタンダード